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4−3. 現地調査
(1)海水浴場でのスロープ、階段の整備状況の把握
海水浴場入り口から砂浜へのアクセスにおけるバリアフリー整備の現状を把握するため、移動障害者の移動において問題と思われるスロープ、階段の整備状況を基準値(Tab1e-3)を参考に調査した(Fig-8)(Fig-9)。スロープの設置箇所は神奈川県、千葉県共に6割前後であった。しかし、高齢者や障害者の利用しやすい勾配の基準値に則して部分的にも整備してある箇所は、神奈川県で2割、千葉県で1割程度である。一方、スロープの有効幅員の基準値(135cm以上)を両県とも満たしているがこれは、船や海の家の材料の運搬時における、車の乗り入れを考慮し整備されたものだと考えられる。
次に、階段の設置箇所について見ると、神奈川県は9割以上と非常に高い値を示すが、千葉県では4割程度と設置箇所は少ない。また、階段の手すりの設置状況は、神奈川県65%、千葉県43%である。さらに、階段の手すりの高さの配慮は、神奈川県で67%、千葉県では79%である。一方、階段の蹴上げの配慮は、両県共に設置個所の1/3程度しか整備されていない。

(Table-3. A point of reference of barrier-free 5)

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(Fig-8. The present condition of slopes)

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(Fig-9. The present condition of steps)

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(Fig-10. The present condition of Marine Recreational Facilities)

(2)利便施設の整備状況の把握
利便施設の現状を(Fig-10)に示す。駐車場は75%〜92%と比較的整備されているが、障害者専用駐車スペースやタクシー乗降車場は10%程度しか整備されていない。また、公共施設である障害者用便所の設置も10〜20%と低く、移動障害者に対する配慮がほとんどなされていないのが現状である。
一方、海で快適な環境を提供する休憩施設や衛生施設を担う海の家の設置は、両県ともに8割以上を占めている。しかし、実際には移動障害者にとって入り口に段差がある等、快適に利用できる施設になっていない個所が多い。次に、安全に関する項目である案内地図、管理事務所、監視所等は両県ともに約7割程度設置されている。特に、監視所の役割は重要であり、高齢者、障害者の利用を想定した場合、新たに緊急時の対策、監視体制を整える必要があるであろう。

 

 

 

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